新しい年度が始まり、お花見や入園・入学式、運動会など、カメラが活躍する季節が来ました。消費税が5%から8%に上がったものの、実質的なカメラの価格は逆に下がっているものも少なくありませんので、この機会に本格的なレンズ交換式カメラの購入を考えている方も多いと思います。私も今まで多くの方々のお手伝いをさせていただいてきましたが、「初めてのミラーレスカメラ購入」の相談を受けたとき、必ずお伝えする項目をまとめてみました。
なお、レンズ交換式カメラということではデジタル一眼レフと共通する点もありますので、「初心者がデジタル一眼レフを購入するとき注意すべき7つのポイント」も参考にしていただければと思います。
(写真はソニー α6000。)
ポイント1:予算を考える
なんといっても、まず初めに気になるのは「予算はどのくらいかかるか?」ということだと思います。カメラを買うこと自体が趣味の方であればともかく、一般的には記録のための道具としてミラーレスカメラを購入しますので、かけられる予算もおのずと上限が出てきます。
一般的なシーンをカバーできる性能をもったミラーレスカメラを初めて購入するということでは、できれば4~5万程度の予算があると良いと思います。これから本格的にカメラ撮影を行うということで、ある程度予算に余裕があるのでしたら、10万円が一つの目安になります。
注意する必要があるのは、5万円で揃えられるミラーレスカメラシステムと、10万円のシステムとでは、使い勝手に2倍の差はないということです。仮に10万円の予算で購入したミラーレスカメラで対応できるシーンを10とすると、5万円のカメラでも8~9程度は対応できます。言い換えれば、残りの1~2割の部分にどれだけの価値を感じるかで、必要な予算は大きく変わってくるということになります。この辺りは、パソコンの購入に似ているかもしれません。
ポイント2:サイズ・重さ
次のポイントは、「カメラのサイズと重さ」です。考えるポイントは、日常的に持ち歩いて撮影するか、休日やイベント時に持ち出すかということになります。ミラーレスカメラはデジタル一眼レフと比べると概ね小型軽量であり、カメラごとのサイズの差も、デジタル一眼レフほど大きくはありません。それでも、サイズを重視したものは「ちょっと大きめのコンパクトカメラ」程度であるのに対し、本格的なシステムカメラはそれなりに大きく、重くなります。たとえば、パナソニックのフラグシップ機DMC-GH4は、カメラ本体だけで560gであるのに対し、小型タイプのDMC-GMではわずか204g。(写真左側。コンパクトカメラと同等サイズです。)カメラ本体だけでも3倍近くもの差があります。
なお、ミラーレスカメラでは、多機能なものほど大きく高価になり、機能がシンプルで安価なものはコンパクトとなる傾向がありますので、このあたりも留意されると良いと思います。
ポイント3:動きものの撮影
最近はミラーレスカメラの性能も格段に強化されてきましたので、デジタル一眼レフと比べて気になる点は、ほぼ解消されてきています。しかし、動く被写体については、まだ差が残っている部分であり、ミラーレスカメラごとの違いもあります。静止している被写体や、あまり激しくは動かないものの撮影であれば、最新機種ならそれほど気にする必要はありませんが、とくに動きが大きいものをメインに考えているのであれば、オートフォーカス性能も重視すると良いと思います。
繰り返しとなりますが、最近のミラーレスカメラのトレンドとして「像面位相差方式オートフォーカス」も搭載する傾向にありますので、現行機種の中から選択するのであれば以前ほど大きな差はありません。それでも、比較的イメージセンサーのサイズが小さく、強力な像面位相差方式を搭載しているニコン1システムは、現時点では他社製品よりも半歩先を行っているように思います。
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ポイント4:電子ビューファインダーは必要?
電子ビューファインダーの有無は、カメラとしての使い勝手に大きく関わる要素の一つです。電子ビューファインダーを内蔵している方が機能面では上となりますが、その分サイズが大きくなり高価となる傾向もあります。はじめて買うミラーレスカメラと言うことであれば、電子ビューファインダーの有無にはあまりこだわらなくても良いと思います。
ただし、今後ある程度本格的にミラーレスカメラを使いこなしていきたいと考えている方や、望遠域での撮影や動画撮影もメインに考えられているのであれば、やはり電子ビューファインダーを内蔵したモデルをお勧めします。
最近は、オプションで電子ビューファインダーに対応した機種も増えてきました。使うシーンによって脱着できたり、最初はカメラ本体だけ購入して、後から電子ビューファインダーを購入できるといったメリットもありますが、他方で最初から内蔵しているカメラと比べると、少々高価になるというデメリットもありますので、注意が必要です。
(写真は外付EVFを装着したオリンパス PEN E-P5。)
関連記事:「ミラーレスカメラで電子ビューファインダーは必要ですか?」
ポイント5:ボディだけ?レンズキット?
いうまでもなく、ミラーレスカメラはレンズがなければ撮影することができません。はじめて購入されるミラーレスカメラであれば、まずは2本のズームレンズがついたダブルズームレンズキットを検討されると良いと思います。後からレンズを揃えるのと比べると格段に安価ですますことができますし、キットとなっているレンズは描写性能の点でも抜群のコストパフォーマンスを持っているからです。
もし、予算の関係や、買いたいカメラ本体にはダブルズームレンズキットが用意されていない場合には、標準ズームレンズ(35mm版換算で概ね28~70mm程度の画角をカバーしているもの)のキットが次善の選択肢となります。また、機種によっては、標準ズームレンズに加えて、単焦点レンズもセットになった「ダブルレンズキット」が用意されているものもあります。もし予算に余裕があれば、標準ズームレンズキットの代わりにこちらを選ばれても良いと思います。
ポイント6:一緒に買うべきレンズ、次に買うべきレンズ
前の項目でも記載しました通り、最初に購入するミラーレスカメラは、標準ズームと望遠ズームの2本がセットになったダブルズームレンズが第一候補であり、それが難しい場合には標準ズームレンズのキットが第二候補となります。まずは、このレンズでかなりのシーンに対応することができますので、1枚でも多く撮影されることをお勧めします。
その上で、次に揃えるレンズですが、35mm版換算で50mm前後の画角をカバーしている単焦点レンズを検討されると良いと思います。このタイプのレンズは、F値の小さい明るいレンズのため、被写体を浮かび上がらせるようなボケを活用した撮影も簡単にでき、暗いシーンでも手ぶれしにくいという特長もあります。また、コストパフォーマンスでも優れており、交換レンズの中ではもっとも廉価なグループに属しています。
最近はズームレンズの描写性能も十二分なレベルとなっていますが、それでも標準レンズの幅広い描写力を見ると、違いは小さくないことも実感できると思います。
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ポイント7:メーカーの選び方
もし、すでにデジタル一眼レフやフィルム一眼レフを活用されているのであれば、同じメーカーのものが第一候補となります。各メーカーとも、一眼レフ用のレンズを装着できるマウントアダプターを用意されていますので、お持ちのレンズ資産を活用することができるからです。ただし、メーカーやレンズによっては、オートフォーカスが利かなかったり、手ぶれ補正がなかったりといったこともありますので、確認される必要はあります。
そうした一眼レフのレンズ資産を持っていないのであれば、あまりメーカーにこだわる必要はありません。カメラ本体やレンズの機能やデザイン、価格で選ばれても後悔されることはないと思います。
ポイント8:現行機?旧型機?
ミラーレスカメラでも、特にエントリークラスの製品は毎年モデルチェンジをする傾向にあります。以前と比べると進化のスピードはゆっくりになってきましたが、それでもまだまだ描写力や機能面での進化は続いていますので、できれば現行機種から選ばれることをお勧めします。これから愛着を持って、それなりの期間を使い続けるためには、やはり現時点で入手できる最新モデルの方が望ましいからです。
ただし、機種によっては、たとえば無線LANに対応しただけのような「マイナーチェンジ」だけのものもありますので、そうした機種であれば、進化ポイントをしっかりと確認した上で選択されても良いと思います。
どうしても予算面を重視されるということであっても、1世代前まであたりの製品の中から選ばれることをお勧めします。
ポイント9:新品?中古?
ミラーレスカメラは家電製品としての側面も持っていますので、新品を選択されることを強くお勧めします。最近はネットオークション等で程度の良い中古機種を格安で購入できる場合もありますが、最初の1台としては大きなリスクも伴います。また、「現行機?旧型機?」とも関連しますが、最新機種のエントリー機は、前世代のミドルクラス機よりも機能や描写性能の点で上回っていることも少なくありません。メーカー保証の点でも、最初の1台には新品がふさわしいと言えます。
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ポイント10:無線LANは必要?
最近のトレンド機能の一つに無線LANの搭載があります。エントリークラスの製品でも、無線LANを内蔵している機種も増えてきました。無線LANでできる機能は、スマートフォンやパソコンに撮影データを転送したり、カメラ側からの操作でSNS等へのアップが可能となるものです。また、最近ではスマートフォンの画面でカメラを操作するリモート機能に対応したものも増えてきています。
もし、こうした機能が気になるようでしたら、選択のポイントの一つとして考えられると良いと思います。逆にそうでなければ、それほど重視しなくても良いと思います。
なお、無線LANを使った撮影データの転送機能をもったメモリーカードもありますので、カメラ本体に内蔵していなくても、そうしたメモリーカードを購入することで一部の機能は使えます。
ポイント11:可動液晶?固定液晶?
デジタルカメラの特長を生かして、液晶モニターの向きを上下に変えられたり、さらに自由にアングルを変えることができるチルト・バリアングル可動のモニターを搭載した機種も増えてきています。サイズや重さ、価格面では若干不利になりますが、それらが気にならないようであれば、選択のポイントの一つとして考えられると良いと思います。
最近では180°反転させての「自分撮り」に対応した機種も出てきています。可動液晶モニターは意外と便利ですので、一度店頭で試して見られることをお勧めします。
ポイント12:イメージセンサーサイズは?
ミラーレスカメラでは、35mm版と同じサイズのイメージセンサーを搭載した「フルサイズ」モデルから、高級コンパクトと同じ1/1.7型のセンサーまで、様々なセンサーサイズのものが展開されています。初めてのミラーレスカメラということであれば、1型サイズからAPS-Cサイズまでの中から選択されると良いと思います。APS-Cサイズと1型サイズとでは3倍以上もの差がありますが、それでもコンパクトカメラと比較すると高感度性能や解像感などの描写性能では大きな違いがあります。
センサーサイズにはあまり拘らず、むしろカメラのサイズや機能、レンズシステムなどをメインに選択されるので良いと思います。
ポイント13:パソコンは必要?
パソコンは必須ではありません。しかし、ミラーレスカメラを使われるのであれば、パソコンがあると格段に活用の幅が広がります。とくにミラーレスカメラでは撮影した情報をそのまま記録するRAWモードがあります。このモードで撮影すると、撮影した後から明るさやホワイトバランスを変えることも比較的自由に行えます。最近はカメラ内でRAW現像ができたり、JPEG画像の編集・レタッチ機能をもった機種も出てきましたが、それでもパソコン上でできる現像・編集機能とはかなりの差があります。
予算の都合があれば、すぐにパソコンを用意しなくても良いと思いますが、いずれはパソコン購入も視野にいれることをお勧めします。
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ポイント14:一緒に買うべきものは?
レンズキットで購入した場合、最低限メモリーカードを購入すれば、撮影することができます。それ以外のアクセサリーは、カメラの使い方によって変わりますので、後からゆっくり選ばれるので良いと思います。
一般的に便利なアクセサリーとしては、三脚や予備バッテリー、外付フラッシュ、レンズ保護フィルター、カメラケース、ストラップなどがあります。レンズフィルターについてはカメラと一緒に購入されるケースも多いと思いますが、最近のレンズは汚れや傷にもかなり強くなっていますので、キットレンズであればそれほど重視されることもないかもしれません。
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ポイント15:メモリーカードの選び方
現行のミラーレスカメラはすべて、SDタイプのメモリーカードに対応していますので、選択のポイントは、カードの容量と読み書き速度となります。
まず容量についてですが、たとえば有効24メガ画素のソニーα6000では、一番データサイズが大きくなるRAW+JPEGのモードで、1枚当たり40MB程度となります。仮に4GBのカードであれば100枚、8GBであれば200枚の撮影が可能ですが、できれば16GB以上のカードをお勧めします。なお、JPEGをメインで使われることがはっきりしているのであれば、4GBのカードでも400枚程度の枚数を撮影できますので、これでも十分かもしれません。
ただし、動画を多用されるのであれば、32GBや64GBも候補に入れると良いと思います。フルHD(60p)では、1時間の録画に16GB程度が必要となります。
次に読み書き速度ですが、CLASS10に対応しているものをお勧めします。とくに連写や動画撮影を使われるのであれば、読み書き速度が速い方が快適な撮影が可能となります。バランスはありますが、どちらかといえば読み書き速度を重視された方が良いかもしれません。
なお、4月に登場するニコン1 V3では、マイクロタイプのSDカードが必要です。これからこうした機種も増えてくる可能性があります。
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