ソニーから、手ぶれ補正システムを搭載したフルサイズ・ミラーレス、α7II ILCE-7M2が登場しました。
今までフルサイズのイメージセンサーを搭載したデジタルカメラでは、手ぶれ補正システムを内蔵したものはありませんでしたので、世界初ということになります。このこと自体も十分なニュースバリューがありますが、製品発表を見て強く感じたのは、「いよいよソニー・レンズシステムの統合がスタートした」というものです。いうまでもなく、ミノルタ時代からの歴史と蓄積のあるαマウント(Aマウント)は、ソニーのデジタルカメラにとって重要な資産です。その意味では、いかにAマウントからEマウントへとスムーズに移行するかが、ソニーのミラーレス戦略における最重要課題であり、それに対する答えがα7IIだと思います。
これまでのソニーの製品展開を振り返ると、次のような節目がありました。
- α100のリリース(2006年6月)
- ソニー初のαマウントカメラ。コニカミノルタのα Sweet DIGITALの後継機。
- αNEX-5/αNEX-3のリリース(2010年6月)
- ソニーのミラーレスカメラ。新たにEマウントを採用。レンズアダプター経由で従来のαレンズ(Aマウント)も使用可能。
- α55/α33のリリース(2010年8月)
- 電子ビューファインダーを搭載した初のAマウントカメラ。これ以降、ソニーのすべてのレンズ交換式カメラはEVFに切り替わった。
- α99のリリース(2012年10月)
- Aマウントのフラグシップ機でも電子ビューファインダーとトランスルーセントミラーテクノロジーを採用。
- α7/α7Rのリリース(2013年11月)
- ミラーレスカメラで初となるフルサイズのイメージセンサーを搭載。
- α7IIのリリース(2014年12月)
- Eマウントカメラに手ぶれ補正機能を搭載。マウントアダプター経由でAマウントレンズもEマウントレンズと同じように使用可能に。
2010年にソニーがミラーレスカメラに参入した時、EマウントカメラとAマウントカメラとでは、機能面でも想定しているユーザー層の点でも大きく異なるものとして設定されていたように思います。当初のNEXシリーズでは電子ビューファインダーに対応していなかっただけでなく、将来フルサイズのセンサーが搭載できるかについても明らかではありませんでした。また、レンズマウントアダプターを介してAマウントレンズを使用できたものの、実質的に手ぶれ補正機能を使うこともできません。Aマウント用のカメラはボディ内に手ぶれ補正機能を搭載していたため、ほとんどの交換レンズは手ぶれ補正機構を搭載していなかったためです。NEXシリーズで使いたいAマウントレンズは主に望遠レンズであることを考えると、この点は大きなマイナスポイントでした。
しかし、その後、Aマウントカメラでも電子ビューファインダーが標準になるとともに、フルサイズのイメージセンサーを搭載したEマウントボディの登場で、Aマウント・ボディとEマウント・ボディはかなり近い存在へと変わってきました。残された唯一の違いは、Aマウントボディには手ぶれ補正機構が搭載されているのに対し、Eマウントボディには手ぶれ補正機構が搭載されていない点でした。今回、手ぶれ補正機能を内蔵したEマウント・ボディであるα7IIが登場したことで、いよいよ両システムの差が小さくなったと言えます。特にα7IIに、Aマウントカメラと同じ位相差方式AFを搭載したレンズマウントアダプターLA-EA4を装着した場合、α99に極めて近い使い勝手を得ることができます。
おそらく、そう遅くない時期に、手ぶれ補正機構を搭載したα9やα6000II等がリリースされてくるのだと思います。その時、Aマウントレンズ「しか」装着できないα99は、両方のレンズシステムをフル機能で活用できるα9によって乗り越えられ、EマウントカメラによるAマウントカメラの統合が完成します。
「αNEX」シリーズが「α」シリーズに改称されたのも、このことを見越してのことだったと言えそうです。
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