2月13日から16日まで開催されたCP+2014(速報記事)は、あいにくの悪天候となってしまいましたが、昨年以上に魅力的な製品が多数展示されていました。とくに今年は秋にフォトキナが開催される年ですので、これからも引き続き新製品のリリースが続くものと思われます。
他方で、デジカメ業界の「苦境」がメディアでも報じられています。スマートフォンと直接競合するような廉価タイプのコンパクトデジカメ市場が急速に縮小しているだけでなく、レンズ交換式カメラにおいても「右肩上がり」の状況に陰りがさしてきており、こうした状況の変化に対する戦略が求められているのだと思います。
報道されている情報によれば、デジカメ各社が舵を切ろうとしている方向は「高付加価値化」のようです。小型のカメラユニットが急速に高性能化する中で、スマートフォン等のカメラ機能は日常的な記録目的であれば十分なレベルに到達しつつあります。「デジタルカメラだからこそ撮ることができる」という部分に着目し、その強みを伸ばしていこうとする「高付加価値化」の方向性は極めて自然であり、おそらく正しい進化方向だと思います。
今回のCP+2014でも、たとえばミラーレスカメラの弱点であったオートフォーカス性能をデジタル一眼レフ並みに強化したソニーα6000や、高倍率ズームの使い勝手を良くするドットサイト機構を搭載したオリンパス STYLUS SP-100EE、コンパクトカメラとしての描写性能をさらに追及したキヤノンPowerShotG1X Mk2、撮影者も同時に写しこめるキヤノン PowerShotN100、チルト液晶を搭載した本格的タフネス機 オリンパス STYLUS TG-850、新型の3層式イメージセンサーでさらに解像感を向上させたシグマ DP2 Quattro、等々、単に今までの延長線上ではない試みがされたカメラを多く見ることができました。
これからも、デジタルカメラとしてのコア機能である「画像の記録」を描写面や機能の点からさらに突き詰めていくとともに、他分野の機能の取り込みや連携などが進んでいくものと思われます。とくにデジタルカメラは文字通りデジタル技術を基盤としていますので、さまざまな形への発展はフィルム時代とは比較にならないほど容易に行うことが可能です。
デジタルカメラの高付加価値化は、価格やサイズ面だけが売りではないカメラが増えることを意味しますので、デジタルカメラに単なる「記録機」以上のものを求める私たちにとっても歓迎すべき流れだと思います。「ロゴを隠すとメーカーの区別もつかない」といったことはなくなり、メーカーやシリーズごとの特長が前面に出てくる「多様性」が、デジカメ分野の発展につながっていきます。
他方で、高付加価値化以外の進化方向もあるような気もします。たとえば、廉価タイプのコンパクトカメラとして、さらに突き詰めていくような試みも必要なのではないか、ということです。市場全体を見れば、ボリュームゾーンを切り捨てるには、まだ早すぎるようにも感じます。今後の推移はどうなっていくのか、楽しみにしていきたいと思います。